「不動産を売却したときに所得税がかかるって本当?」
「不動産を売却した際の所得税はどうやって計算するの?」
不動産を売却して利益を得た際には『個人の所得』とみなされ、会社員の給与や個人事業主の収入と同様に所得税が課せられます。売却額が大きいこともあり、不動産売却で発生する所得税はかなりの金額になるため注意が必要です。
知らないでいると確定申告の時期に想定外の出費によって困ってしまいます。税金面は非常に重要な知識のため、事前にしっかりと理解しておくことが重要です。
とはいっても、不動産売却の税金は複雑なことが多く、あまりの難しさに頭を抱えている方も少なくないでしょう。
そこで本記事では、不動産売却時にかかる所得税について解説します。所得税の計算方法まで解説するため、ぜひ参考にしてください。
また以下の記事では、不動産売却の税金に関して網羅的に解説しています。控除や各種税金に関しても解説していますので、気になる方は以下の記事も合わせてチェックしてみてください。
不動産売却で利益が発生したら所得税がかかる
まず、不動産を売却した際に売却利益が発生すると、その利益は『譲渡所得』となり、譲渡所得にかかる税金の支払いが必要になります。不動産を売却して利益が発生した場合のみに支払う税金であり、利益が出なかった場合に所得税は発生しません。
翌年の確定申告時に所得税を申告し、受付期間に支払います。所得税はさまざまな条件によって税額が大きく変動するため注意しましょう。また、2037年までは、復興特別所得税と呼ばれる税金が所得税にあわせて徴収されます。
所得税の税率は不動産の保有
年数で変わる
不動産売却で発生する所得税の税率は、売却予定の不動産の保有年数によって変化します。譲渡所得にかかる税金は大きな金額になりやすいため、事前に把握しておきましょう。
不動産を譲渡した年の1月1日の段階で保有年数5年以下の場合、短期譲渡所得に区分されます。税率は30%です。
不動産を譲渡した年の1月1日の段階で保有年数が5年を超えている場合には、長期譲渡所得に区分され、税率は15%になります。短期譲渡所得と長期譲渡所得の間には15%もの差があるため、売却予定の不動産によってはうまく活用してみましょう。
不動産の保有年数によって売却時に所得税の税率が変わる3つの理由
ここでは、不動産の保有年数によって売却時に所得税の税率が変わる理由を3つにまとめて解説します。
不動産売却を検討している人はぜひ知っておきましょう。
投機的な取引の抑制
投機的な取引の抑制をするために、不動産の短期売買には高い税率を適用されています。
例えば、マンションを1億円で購入し、1年後に1億2000万円で売却したとしましょう。この場合、5年以内の売却なので、利益2000万円に対して39.63%の税率が適用され、税負担は約793万円です。
高い税負担は、短期的な値上がりを狙った投機的な取引を思いとどまらせる狙いがあります。結果として、不動産価格の急激な変動を防ぎ、市場の安定化に繋がっています。
不動産の長期保有の推奨
不動産の長期保有を推奨するために、5年を超える長期保有に対しては低い税率を適用しています。
例えば、1億円で購入したマンションを6年後に1億2000万円で売却したとしましょう。この場合、利益2000万円に対して20.315%の税率が適用され、税負担は約406万円です。
先程の短期売却と比べて税負担が大幅に軽減されることがわかります。長期保有をすることで、安定的な住環境の維持や計画的な都市開発に繋げることが可能です。
税収の確保と公平性の維持
不動産売却による利益に対して適切な課税を行うことで、税収を確保するのと同時に、納税者間の公平性を維持しています。
例えば、給与所得者が年間1000万円の給与を得た場合と、不動産投資家が1年で1000万円の譲渡益を得た場合を比較してみましょう。
給与所得者の所得税や住民税は約276万円ですが、不動産の短期譲渡所得に対しては約396万円の税金がかかります。このように、労働所得と比較して高い税率を設定することで、不労所得に対する適切な課税を実現し、税負担の公平性を保っています。
同時に、重要な税収源としても機能しているのです。
所得税には特例が使える
不動産を売却して利益が出た際には、所得税を少しでも抑えるための税金対策として、以下の4つの特例が利用できます。
- 居住用財産の3,000万円特別控除
- 居住用財産売却の軽減税率の特例
- 居住用財産の買換え特例
- 空き家に係る譲渡所得の特別控除
居住用財産とは、実際に住んでいる物件もしくは、過去に住んでいて住まなくなってから3年が経過していない物件のことを指します。特例はそれぞれ条件が異なりますが、うまく活用すれば税金を大幅に減らすことが可能です。
詳しい要件については、国税庁の公式ページで確認してみてください。また、難しい場合には税理士に相談することもひとつの方法です。
所得税の計算方法
いよいよ、不動産売却にかかる所得税の計算方法をみていきましょう。今回は以下の2つの工程に分けて解説します。
不動産売却にかかる所得税は、譲渡所得から特別控除額を差し引いた課税譲渡所得に税率をかけることで計算できます。以下で詳しく解説するため、ぜひ参考にしてください。
譲渡所得の計算方法
まずは、課税の対象になる譲渡所得を計算していきましょう。譲渡所得の計算式は以下になります。
譲渡所得=譲渡価額ー(取得費−譲渡費用)
譲渡価額とは、不動産の売却価額に固定資産税と都市計画税の精算金を足したものを指します。譲渡費用は、仲介手数料や測量費などの不動産売却時にかかった必要経費、建物の取り壊し費用などです。
取得費は、売却した不動産を購入した時の費用や仲介手数料のことであり、基本的に以下の計算式で大きい方の金額を使います。
取得費=(物件購入金額+諸経費)ー建物の減価償却費
取得費=譲渡収入金額×5%
減価償却費は、建物の経年劣化によって下がった建物の価値を表す費用です。一般的に以下の式で計算します。
減価償却費=建物の購入代金×0.9×償却率×経過年数
経過年数は1年未満の場合、6ヶ月以上は1年、6ヶ月未満は切り捨てで計算します。償却率は国税庁のHPで確認できますが、判断が難しいため税務署や税理士に確認すると良いでしょう。
譲渡所得税の計算方法
譲渡所得が算出できたら、譲渡所得税を計算していきます。まずは、以下の計算式を使って、税率をかけるための課税譲渡所得を計算しましょう。
課税譲渡所得=譲渡所得ー特別控除額
居住用財産の3,000万円特別控除などの特例を使用する場合には、譲渡所得から特別控除を差し引いて課税譲渡所得を導きます。課税譲渡所得が明確になったら、税率をかけることで所得税を導き出すことが可能です。
税率をかける際には、長期譲渡所得なのか短期譲渡所得なのかによって税率が変わるため注意しましょう。上記の流れで不動産売却にかかる所得税を計算します。
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項目 | 詳細 |
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引用元:SUUMO
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まとめ
本記事では、不動産売却時にかかる所得税について解説しました。不動産売却で得た利益は、そのまま手元に入ってくるわけではありません。
法律で定められた税金がかかるため、本記事で解説した内容を参考にして所得税を計算してみてください。難しい場合には、不動産会社や税理士に相談してみましょう。
また、お住まいの地域によっては、自治体が税理士の無料相談会を開いている場合もあります。うまく活用して、適切な不動産売却をしましょう。
本記事があなたのお役に立てれば幸いです。