「不動産売却の媒介契約って何?」
「不動産売却の媒介契約の種類が知りたい」
「種類によってのメリット・デメリットが知りたい」
「自分に合う種類はどれ?」
「注意点はあるの?」
不動産売却するにあたって、個人で売却するのは難しいため、不動産会社に仲介を依頼するのが一般的な方法です。依頼する際に、不動産仲介会社と結ぶ契約のことを媒介契約と言います。
媒介契約の内容によっては、売主と不動産会社の間に報酬面や契約面などでトラブルが発生するケースもあります。したがって、不動産売却の媒介契約には正しい知識を身につけておくことが重要です。
そこで今回は、不動産売却の媒介契約の概要と種類、選び方、注意点について解説します。これから不動産売却を検討している方はぜひ参考にしてください。
不動産売却の媒介契約とは?
不動産売却の媒介契約とは、不動産会社に売却を依頼する際に結ぶ契約のことです。媒介契約を結ぶことで、不動産会社が売主の代わりに買主を探し、売買契約の成立に向けた交渉などをしてくれます。
この媒介契約には、所有している物件をどのような条件で売却活動をするか、成約した際の報酬金額をどのようにするのかなどの内容が定められています。
売主と不動産会社の仲介業務でのトラブルを未然に防ぐためにもとても大切な契約です。
不動産売却の媒介契約の種類
不動産売却時の媒介契約には以下の3種類があります。
それぞれにメリット・デメリットがあるため、上記3種類についてわかりやすく解説していきます。
専属専任媒介契約
専属専任媒介契約は、契約を結ぶと、売主は契約を結んだ不動産会社以外に仲介を依頼できなくなります。他の不動産会社に買主を紹介してもらうこともできません。また、自分で買主を見つけた場合の直接売買契約を結ぶこともできなくなります。
自分で見つけた場合でも、仲介手数料が発生するのがデメリットです。しかし、売主が他の不動産会社に依頼ができないため、売却活動に集中してもらえるメリットもあります。また、複数の不動産会社が競合することで、より高い売却価格が期待できます。
したがって、専属専任媒介契約は、早く、高く売却したい方におすすめの媒介契約です。ただし、売主は、選択肢が限られてしまう点に注意しましょう。
専任媒介契約
専任媒介契約は、契約を結ぶと、売主は契約を結んだ不動産会社以外に仲介を依頼できなくなります。ただし、自分で買主を見つけた場合は、その買主と直接売買契約を結べます。
1社にしか売却を依頼できないことがデメリットです。しかし、売主が自分で見つけた買主と直接取引することが可能となるため、不動産会社を介さずに売買契約を締結できます。
不動産会社を介することなく取引できた場合、全て自分と買主で直接調整や手続きなどをしなければなりません。その代わり、仲介手数料を支払わずに売買できるといったメリットがあります。
したがって、専任媒介契約は、売却価格はできるだけ高くしたいけど、自由度も残したい方におすすめの契約です。ただし、1社にしか依頼はできないので、売却が遅れる可能性がある点には注意が必要となります。
一般媒介契約
一般媒介契約は、複数の不動産会社に売却活動を依頼できる契約です。また、自分で買主を見つけた場合でも、その買主と直接売買契約を締結でき、仲介手数料も発生しません。
ただ、複数の不動産会社同士が競合しないと売主が希望する売却価格を提示してくれる不動産会社が現れず、売却価格が下がる可能性があるというデメリットがあります。
しかし、複数の不動産会社に依頼できることでより多くの買主に物件をアピールすることはできます。また、自分で買主を見つけて売却した場合、仲介手数料が発生しないため、コストを抑えられるのはメリットです。
したがって、一般媒介契約は、売却を早く、コストを抑えて売却したい方におすすめです。ただし、売却価格が下がってしまう可能性がある点に注意が必要となります。
不動産売却における媒介契約の5つのメリット
不動産売却における媒介契約のメリットを5つにまとめて紹介します。
1つずつ解説します。
専門知識と経験を活用した売却活動ができる
不動産会社の専門知識と経験は、売却に大きな影響を与えるといえます。
例えば、相続した実家を売却する場合を考えてみましょう。不動産会社は、相続税と譲渡所得税の関係や、特別控除の適用条件など、複雑な税制を熟知しています。適用できる場合のメリットなどを具体的に説明し、最適な売却時期や方法を提案してくれます。
また、売買契約書の作成や重要事項説明など、法的に重要な手続きも適切に行ってくれるため、トラブルのリスクを大幅に減らすことが可能です。
幅広いネットワークを活用した売却活動ができる
不動産会社の持つネットワークは、高額物件の売却時に力を発揮します。
例えば、歴史的価値のある古民家を売却する場合を想像してみましょう。一般的な不動産サイトでの広告だけでは適切な買主を見つけるのが難しいかもしれません。
しかし、不動産会社は、古民家に興味を持つ顧客のデータベースや、文化財に詳しい専門家とのつながりを持っている可能性があります。また、他の不動産会社とのネットワークを通じて、より広範囲に物件情報を拡散することが可能です。
個人で行うよりも多くの買主にアプローチし、適切な価格での売却を実現できる可能性が高まります。
時間と労力の節約ができる
不動産売却には多くの時間と労力がかかりますが、不動産会社との媒介契約はこれらを大幅に節約できます。
例えば、マンションを売却する場合を考えてみましょう。物件の写真撮影や広告の作成と掲載などすべての業務を個人で行うには、多くの時間と労力がかかります。
しかし、不動産会社に依頼すれば、すべての業務の代行が可能です。売主は重要な判断の場面でのみ関与すればよいため、仕事や家事、育児などに集中しながら、効率的に売却を進めることができます。
適正価格の設定ができる
適正価格の設定は、迅速な売却のためには非常に重要になります。しかし、長年住んだ物件への愛着などから、売主は物件を過大評価しがちです。
不動産会社は、感情を排除し、市場に基づいた客観的な評価を行います。
例えば、「隣の家が5年前に8,000万円で売れたから、うちも同じくらいで売れるはず」と売主は考えるでしょう。しかし、不動産会社は周辺の直近の取引事例や、その間の市場の変化、物件の経年劣化などを考慮した適正価格を提示します。
これにより、物件が適正な価格設定となり迅速な売却が可能になります。
トラブル対応をしてもらえる
不動産取引にはさまざまなトラブルのリスクがあります。不動産会社との媒介契約はリスクを軽減することが可能です。
例えば、買主が契約直前に突然キャンセルを申し出てきた場合を想像してみましょう。個人間取引では、どのように対応すべきか判断に迷うかもしれません。
しかし、不動産会社が間に入ることで、違約金の請求や新たな買主を探すなど、適切な対応を迅速に行うことが可能です。また、宅地建物取引業法に基づく契約であるため、重要事項の説明義務や損害賠償責任など、売主の権利が法的に保護されます。
不動産会社との媒介契約をすることで、安心して取引を進めることができます。
不動産売却の媒介契約の選び方
不動産売却の媒介契約は、売却を成功させるためにもとても重要となります。そのため、媒介契約の選び方には、希望や状況を整理することが大切です。
- 売却希望価格(高く売りたいのか)
- 売却時期(早くしたいのか)
- 売却費用(コストを抑えたいのか)
- 売却希望エリア
売却希望価格や売却時期は、売主のライフスタイルや経済状況、売却希望エリアは、物件の状況や立地によっても異なります。特に、売却費用は、媒介契約の種類によっても変わってきます。これらの項目を整理し、希望や状況に合った媒介契約の種類を選びましょう。
不動産売却の媒介契約の注意点
不動産会社と媒介契約を結ぶにあたって注意するべきポイントを紹介します。
それぞれのポイントをわかりやすく解説していきます。
媒介契約書の内容をよく確認する
媒介契約書は、不動産会社に売却を依頼する際に締結する重要な契約書です。媒介契約書には、売却活動の条件や仲介手数料などの内容が記載されています。
特に、仲介手数料は売却価格に応じて計算されるため、金額が大きくなる可能性があります。
売却活動の内容も、不動産会社によって異なります。事前に説明を受けて合意した内容に相違ないか、記載されている内容がそもそも宅建業法に違反していないかも確認すべきです。
媒介契約書を締結する際には、契約書の内容をよく理解した上で問題がないかを判断しましょう。
重要事項説明書をよく理解する
媒介契約重要事項説明書は、売主が売却活動を依頼する前に、不動産会社から説明を受ける必要がある書面です。内容としては、物件の概要や仲介手数料など、不動産売却に関する重要な情報が記載されています。
したがって、媒介契約重要事項説明書の内容をよく理解することで、売却活動に関するトラブルを未然に防げます。売却活動の内容は希望に合っているか、仲介手数料の額は、宅地建物取引業法で定められた上限額を記載しているかも確認するべきです。
売主は媒介契約を締結する前に、必ず重要事項説明書の内容をよく理解した上で売却を検討しましょう。
不動産仲介会社の「囲い込み」に注意する
不動産会社が、他の不動産会社に買主を紹介しないようにすることを『囲い込み』といいます。
囲い込みが行われると、売主にとっては、売却価格が下がったり、売却が遅れたりするなどのデメリットが生じます。囲い込みを防ぐためには、複数の不動産会社に査定を依頼したり、媒介契約書をよく読みましょう。
したがって、媒介契約を締結する際には、囲い込みが行われていないか十分に注意する必要があります。
売却活動を積極的に行う
媒介契約を結んだ後は、売却活動を積極的に行うことが大切です。
ネット・紙媒体への物件掲載や不動産会社が主催する内覧会への参加など、売却活動を積極的に行うことで、早期売却できる可能性が高くなります。
したがって、売却活動の内容やスケジュールなどは不動産会社と相談しましょう。
契約期間を意識する
媒介契約には、契約期間があります。契約期間が終了すると自動的に契約が解除されます。解除となると、不動産会社は売却活動を継続できなくなってしまうため注意しましょう。
契約期間は、売却活動を円滑に進めるためにとても重要です。成功させるためにも、活動にかかる期間を見積もった上で、よく検討し決めましょう。
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まとめ
今回は不動産売却における、媒介契約の概要や注意事項について解説しました。媒介契約は、不動産売却を不動産会社に依頼する上で、必ず締結する必要のある契約です。
専属専任媒介契約、専任媒介契約、一般媒介契約の3種類の契約形式があります。それぞれの特徴やメリットをしっかり理解し、自分の希望や物件状況に合った媒介契約の種類を選ぶことが大切です。再度、どのような売却計画で進めるかを自分で確認した上で不動産売却に向けて行動しましょう。
本記事があなたのお役に立てることを願っております。